ピックで何が変わる?まず3つの要素を知ろう
同じギターでも、ピックを替えると音の太さや弾き心地が変わります。違いを生む要素は主に「厚み」「形」「素材」の3つです。最初は厚みから決めると選びやすくなります。ピックは見た目が似ていても、弦に当たったときの感触がかなり違うため、「正解は一つではない」と考えて、気楽に試してみましょう。
厚みの違いと、弾き語り・リードの目安
厚みは楽器店などの解説で、おおむね次のように分けられています。数値は目安で、メーカーや製品によって多少異なります。
- シン(薄め・約0.5mm):しなりが大きく、柔らかい音になりやすい。アコースティックギターのストロークや繊細なタッチ向きとされます。
- ミディアム(約0.7mm):しなりと硬さのバランスがよく、ストロークからアルペジオまで幅広く使えます。
- ヘビー(約1mm):しなりが少なく、音の輪郭がはっきりします。ストロークでもしっかりした音量が出やすいとされます。
- エクストラヘビー(約1.15mm以上):硬くてしっかりしており、速いフレーズを弾きたい人に向くといわれます。
一般に、弾き語りのコード弾きはミディアム〜ヘビー、単音を速く弾くリードはヘビー〜エクストラヘビーが目安とされます。薄いピックは音が細くなりやすい反面、ストロークには扱いやすい、厚いピックは音が太くしっかり鳴る反面、弦から離れにくく感じる人もいる、といった特徴の違いもあります。ただし、弾き方やギターとの相性で合う厚みは人によって異なります。
初心者の方は、持ったときの安心感も判断材料になります。薄いピックは弦に当たると大きくしなるため、狙った弦に当てる感覚をつかみにくいと感じる人もいます。一方、厚いピックは弦を弾いた感覚が分かりやすい反面、最初は硬く感じることがあります。
形と素材で変わること
形にはティアドロップ型、トライアングル型、ジャズ型などがあります。一般に、先端が尖ったものは音がシャープで高音が出やすく、速いフレーズ向き、丸みのあるものは温かく太い音になりやすいと説明されます。持ちやすさは手の大きさでも変わるため、実際に持って確かめるのがおすすめです。
素材はセルロイド、ナイロン、デルリンなど多様です。見た目と音はある程度対応するといわれ、表面がつるつるだと明るく軽い音、ざらざらだと少しこもった音になりやすいとされます。表面の質感は、指で持ったときの滑りにくさにも関わります。金属や石などの変わった素材もありますが、まずは定番の素材で基準を作ると比べやすくなります。
失敗しにくい選び方と注意点
- 弾き語りならミディアム前後を1枚選び、基準にします。
- 同じ形で厚みだけが違うものを試し、同じフレーズで音の太さや弦への引っかかりを比べます。
- 厚みが決まったら、形や素材を変えて好みの音を探します。
- 弾く曲や目的が変わったら、基準に戻って見直します。
注意点として、ピックを落とさないよう強く握りしめると、手首や前腕に力が入り、疲れや痛みの原因になります。軽く持ち、痛みやしびれを感じたら休みましょう。縁が欠けたピックは弦を傷める場合があるので、交換をおすすめします。また、ピックは小さいため、小さなお子さんの手の届く場所には置かないようにしてください。
ここまでのポイント
ピック選びは、厚みで弾き心地と音の太さを決め、形と素材で細かな好みを整える、という順に考えると迷いにくくなります。弾き語りならミディアム前後、速いリードならやや厚めが出発点の目安です。ただし、これは一般的な目安にすぎません。数枚を弾き比べ、自分の手と耳で納得できる1枚を探してみてください。
参照:サウンドハウス「【初心者ギタートーク】~ピックの選び方~」
参照:島村楽器「ピック選び方入門~自分にあったピック選び~」
ピックの持ち方と角度
ピックは、親指の腹と人差し指の側面(第一関節のあたり)ではさむように持ちます。先端を数ミリだけ出すのが一般的な目安で、出しすぎると弦に当たったときにぶれやすく、出さなすぎると弦に引っかかりにくくなります。強く握りすぎると、手首や腕に力が入って、ストロークが固くなりがちです。軽く持って、弦に当たったときに少し動く程度が、扱いやすいといわれます。
弦に当てる角度によっても、音は変わります。ピックの面を弦と平行に近い角度で当てると、柔らかく広がりのある音に、少し斜めにして先端で弾くと、輪郭のはっきりした音になりやすいとされています。同じピックでも、持ち方や当て方で違いが出るので、いろいろ試してみてください。
ピックの持ち方を身につける手順
持ち方は、文章だけでは分かりにくい部分です。ギターを構える前に、手だけで次の順に確かめてみましょう。
- 利き手の人差し指を軽く曲げ、第一関節のあたりの側面を上に向けます。
- ピックの尖った先端が指の外に出るように置きます。
- 親指の腹を上からそっとのせて、人差し指との間にはさみます。
- 先端が数ミリだけ見える位置に調整します。
- ギターを構え、6弦から1弦まで、ゆっくり下向きに1回ずつ弾きます。ピックが指の中で回らないかを確かめます。
- 回ってしまうときは、はさむ位置を少し深くするか、表面が滑りにくいものを試します。力で止めようとせず、位置と道具で調整するのがコツです。
手順がうまくいったら、次は弦に当てる練習です。コードを一つ選び、ストロークをゆっくり繰り返して、ピックが安定しているかを確かめます。慣れるまでは、音が小さくても構いません。まずは、当たり方をそろえることを大切にしてください。
ピックの減りと交換の目安
ピックは消耗品です。使っているうちに、先端が丸くなったり、表面に傷がついたりします。先端が丸くなると、弦に当たる感触や音が変わり、アタックがぼやけて聞こえることがあります。弾きにくさや音の変化を感じたら、新しいものに替えるタイミングです。素材によって減りやすさは異なり、柔らかい素材は減りやすいといわれます。
- 複数枚をまとめて買っておき、すり減ったものから順に使う。
- ケースやポケットに入れて、紛失を防ぐ。
- アコースティックギターでは、サウンドホールに落とすと取り出しにくいので注意する。
場面別に考えるピック選び
迷ったときは、弾く場面ごとに考えると整理しやすくなります。
- やさしい曲をゆっくりコードで弾く場合:薄めから中くらいが扱いやすいといわれます。
- 歌の伴奏を力強く弾きたい場合:中くらいから厚めを試す価値があります。
- 1本ずつ弦を弾き分けるアルペジオの場合:引っかかりが少なく、先端が扱いやすいものが弾きやすいという声があります。
どれも目安にすぎません。最終的には、実際に弾いたときの手応えで決めてください。
初心者がやりがちな失敗と直し方
多くの人がつまずきやすい点を、直し方と一緒にまとめます。
- 強く握りすぎる:手首や腕に力が入り、ストロークが固くなります。ピックが落ちない範囲で、できるだけ軽くはさみます。
- 先端を出しすぎる、または出さなすぎる:出しすぎるとぶれやすく、出さなすぎると弦に引っかかりにくくなります。数ミリを目安に、少しずつ位置を変えて確かめます。
- ピックが指の中で回る:握る位置が浅いか、表面が滑りやすい可能性があります。位置を深くするか、滑り止め加工のあるものを試します。
- 弦に引っかかる音が出る:先端を弦に垂直に当てると引っかかりやすくなります。ピックの面を少し斜めにして、力を抜いてなでるように弾きます。
- すぐに別のピックに替えてしまう:基準がないと、違いが分からなくなります。まず1枚を決め、数日は同じものを使ってから比べます。
- 厚いピックを無理に使い続ける:硬くて疲れるときは、一段薄いものに戻して構いません。上手に聞こえるかどうかより、楽に鳴らせるかどうかを優先します。
失敗は誰にでも起こります。一度の練習で全部を直そうとせず、気になる点を一つだけ選んで意識する方法がおすすめです。
ピックを使わない弾き方との違い
ピックを使わずに、指で弾く「フィンガーピッキング」もあります。指で弾くと、柔らかく温かみのある音になりやすく、1本ずつの弦を細かく弾き分けやすい利点があります。一方、ピックを使うと、明るく輪郭のはっきりした音が出やすく、ストロークを速く、力強く弾くのに向いているといわれます。弾き語りでは、曲の雰囲気に合わせて、どちらも使い分ける人が多いようです。
ピック選びの進め方の例
- まず、薄め・中くらい・厚めの3種類を、1枚ずつ購入して試す。
- 同じ曲を、それぞれのピックで弾いて、音の違いや弾きやすさを比べる。
- 気に入ったものが見つかったら、同じ種類を数枚まとめて用意する。
- 曲のジャンルや、弾き方が変わったときに、改めて別の種類を試す。
ピック選びに、決まった正解はありません。自分にとって弾きやすく、出したい音に近いものが、いちばんのピックです。気軽にいくつか試してみてください。
選んだあとのチェックリスト
- 厚みは、弾き語りならミディアム前後から選びましたか。
- 同じ形で、厚みの違うものを比べましたか。
- 持ったとき、指の中で安定しますか。
- 強く握らなくても、落とさずに弾けますか。
- 弾いたあと、手首や腕が疲れすぎていませんか。
- 縁の欠けや、先端のすり減りはありませんか。
- 予備を数枚用意し、置き場所を決めましたか。
すべてに「はい」と答えられなくても問題ありません。気になる点を一つずつ見直すつもりで使ってください。
3日間の弾き比べ練習メニュー
ピックの違いは、同じ条件で比べると分かりやすくなります。次の短いメニューを試してみましょう。
- 1日目:薄めのピックで、好きなコードを2つ選び、ゆっくり4拍ずつ弾きます。数分続けて、音の太さと弾きやすさをメモします。
- 2日目:中くらいの厚みのピックで、同じコードを同じ速さで弾きます。前の日と比べて、手の疲れ方も確かめます。
- 3日目:厚めのピックで、同じことを繰り返します。
- 最後にメモを見返して、いちばん気持ちよく弾けたものを基準の1枚にします。
速さをそろえると比べやすくなります。メトロノームの使い方 BPMの意味と、リズム感を育てる練習のコツを参考に、毎回同じテンポで弾くとよいでしょう。メモに書く項目の例は次のとおりです。
- 音の太さ:細い、ちょうどよい、太い。
- 弾きやすさ:弦に引っかかるか、すべるように弾けるか。
- 手の疲れ:弾き終わったあとの手首や指の感じ。
- 音の好み:自分が出したい音に近いか。
弾いていて手や指に痛みが出たら、無理をせず休みましょう。痛みとの付き合い方は、指先が痛いときはどうする?ギターの痛みとの付き合い方と対処法も参考になります。痛みが続くときは、医師に相談してください。
よくある質問
ピックは、何枚くらい用意すればよいですか。
種類を試すために、数枚用意しておくと便利です。すり減ったり、なくしたりすることもあるので、予備を持っておくと安心です。
厚いピックのほうが、上手に聞こえますか。
一概にはいえません。曲の雰囲気や、弾き方によって、合う厚さが変わります。いろいろ試して、自分に合うものを探してください。
ピックをよく落としてしまいます。
持ち方が緩すぎる、または手汗で滑ることが原因かもしれません。表面に滑り止め加工がしてあるものを試してみるのも、一つの方法です。持ち方の手順は、前半の「ピックの持ち方を身につける手順」も見直してみてください。
ピックに表と裏はありますか。
多くのピックは、表と裏で大きな違いはありません。ただし、片面だけに滑り止め加工があるなど、面によって違いのある製品もあります。使う前に、製品の説明を確認しましょう。
弾くときのピックの音が気になります。
強く当てすぎているか、ピックの先端を弦に垂直に当てている可能性があります。力を抜いて、ピックを少し斜めにして弾くと、変わることがあります。厚みによっても感じ方が違うため、弾き比べメニューも試してみてください。
まとめ
ピックは、小さな道具ですが、音や弾き心地に大きく関わります。自分に合った1枚を探すことも、ギターの楽しみの一つです。
自分に合うピックを探す楽しみ
ピックは安価なものが多いので、いくつか試して、自分の手と弾き方に合うものを探す楽しみがあります。曲や気分によって使い分けるのも、ひとつの工夫です。
