コードチェンジが遅くなる主な理由
一般に、コードチェンジが遅い原因は指の力不足よりも、「どの指がどこへ動くかが整理できていない」「指が余計に動いている」ことにあるといわれます。コードの形そのものを押さえられるようになっても、切り替えに慣れるまでには時間がかかります。上達の速さは人によって異なるので、焦らず段階を踏みましょう。弦や指板をじっと見ないと切り替えられない状態から、見なくても指が形を覚えている状態へ近づけていくことが、この練習の大きな目標になります。また、指が寝て隣の弦に触れると、音がこもったり鳴らなかったりして、やり直しが増えます。指を立てて弦を押さえると、きれいな音が出やすいとされます。
練習を始める前の準備
練習の前に少し準備をすると、動きが安定しやすくなります。
- チューニングを確認する:音程が合っていないと、正しく押さえても違和感が出ます。やり方は、ギターのチューニングのやり方 音名とチューナーの使い方、狂う原因と対策を参考にしてください。
- 姿勢を整える:背筋をのばし、ギターを体に安定させて構えます。
- 手首と指を軽く動かす:いきなり強く押さえず、体を慣らしてから始めます。
- 爪を確認する:左手の爪が長いと、指を立てて押さえにくくなります。
- テンポを決める:メトロノームやアプリを用意すると、一定の速さで練習しやすくなります。
段階別の練習メニュー
- 形を覚える:コードを1つずつ押さえ、指板を見ずに形を作り直します。弦を鳴らさず、指の動きだけを確認する練習も有効とされます。
- ゆっくり通す:2つのコードを選び、右手のストロークを止めずにゆっくり切り替えます。左手が間に合わなくても、リズムを止めないことが大切です。次のコードへ、拍の少し前から動き始めると間に合いやすくなります。
- 共通指を活用する:動かさなくてよい指は、弦に置いたままにします。たとえばCとAmでは人差し指が同じ位置のままです。この指が基準点になり、ほかの指の移動も減ります。
- メトロノームを使う:遅いテンポで1拍に1回の切り替えから始め、楽にできたら少しずつテンポを上げます。
- 1分間チェンジで測る:2つのコードを1分間に何回往復できるか数えます。あるレッスンでは、まず30回、最終的に60回程度を目標にしています。記録をつけると、上達が見えて続けやすくなります。
続けるコツ
- 長時間より、短時間でも毎日続けるほうが身につきやすいといわれます。1日10分程度でも十分に意味があります。
- 最初は速さより、形が整って音がきれいに鳴ることを優先します。
- 苦手なコードは、弾けるコードの間に挟んで練習すると、いろいろな方向からの移動に慣れやすくなります。
- 弾けている感覚があるとギターに触る時間が増えるため、簡単な組み合わせから始めて自信をつけるのも一つの方法です。
- 右手を止めない練習は、実際の演奏で音が途切れないことにつながります。切り替えに失敗しても、いったん止めずに続けてみましょう。
1日10分の練習例
あくまで一例ですが、次のように時間を区切ると、短時間でも流れを作りやすくなります。2つのコードの組み合わせは日ごとに替えて構いません。同じ組み合わせばかりだと飽きやすいため、少しずつ新しい組み合わせを加えていくと、練習の幅も広がります。
- 最初の2分:弦を鳴らさずに、2つのコードの形を交互に作ります。
- 次の3分:ゆっくりしたテンポで、右手を止めずに切り替えます。
- 次の3分:メトロノームに合わせて、1拍に1回の切り替えをします。
- 最後の2分:1分間チェンジを1回測り、回数を記録します。
手を痛めないための注意
練習後に指先が少し痛むのは、指が慣れていく過程でよくあるとされます。一方、手首や指の関節に鋭い痛みやしびれが出たら、無理をせず練習を中止して休んでください。押さえる力は音が鳴る範囲で必要最小限にし、休憩をはさみながら進めましょう。左手の爪を短く整えておくと、指を立てて押さえやすくなります。痛みが続く場合は、医療機関への相談も検討してください。
参照:JustinGuitar「One Minute Changes Exercise」
参照:Riffhard「How to Stop Being So Slow at Changing Chords on the Guitar」
参照:ragnet「EmからBmにスムーズにコードチェンジができません。コツはありますか?」
参照:島村楽器「【アコギ初心者向け】挫折しない楽しく上達できるおすすめ練習方法10選!」
参照:島村楽器「【ギター初心者】挫折しないギターの練習方法【お悩み解決コーナー!】Vol.3」
コードチェンジの種類と考え方
コードチェンジには、指の動きが少なく済む組み合わせと、すべての指を動かす組み合わせがあります。練習を始めるときは、共通して動かさない指がある組み合わせから始めると、感覚をつかみやすいといわれます。
たとえば、AmからCへの切り替えでは、人差し指(2弦の1フレット)と中指(4弦の2フレット)は位置が変わらず、薬指だけが3弦の2フレットから5弦の3フレットへ移ります。このように、切り替えの前後で動かさない指を「軸」にして、残りの指だけを動かす意識を持つと、スムーズになりやすいといわれます。
AmからCへ切り替える手順
前の章の例を、動きを細かく分けて確認します。Amを押さえた状態から始めましょう。AmもCも、6弦は弾かないコードです。
- Amを押さえ、人差し指(2弦の1フレット)と中指(4弦の2フレット)の位置を確認します。
- 薬指(3弦の2フレット)だけを、弦から少し浮かせます。人差し指と中指は動かしません。
- 薬指を、5弦の3フレットへ移します。
- 5弦から1弦までをゆっくり弾き、音が止まったり、こもったりしていないか聞きます。
- CからAmへ、逆の動きも同じようにゆっくり行います。
- 薬指の移動だけを、拍に合わせて繰り返します。慣れてきたら、4拍ごとに切り替えます。
動かす指が一本だけでも、最初はぎこちなく感じるものです。ここで「軸の指を動かさない」感覚をつかむと、ほかの組み合わせにも役立ちます。
次の形を先に作る
コードチェンジが遅い人は、拍の頭になってから指を動かし始める傾向があります。そうではなく、現在のコードを弾いている途中から、次のコードの形を頭の中で思い浮かべ、指を準備しておくと、間に合いやすくなります。最後の1拍や、最後の音を弾いている間に、次のコードへ向かう動きを始めてみましょう。
リズムを止めない練習
- 右手のストロークを止めずに、左手が間に合わなくても、空振りでリズムだけ続ける。
- チェンジの間に、弦に軽く触れて音を止める(ミュート)状態を作り、リズムを保つ。
- メトロノームに合わせて、1小節ごとにコードを切り替える。
- 慣れてきたら、半小節ごと、1拍ごとの切り替えへ、少しずつ短くする。
初心者がやりがちな失敗と直し方
多くの人がつまずきやすい点を、直し方と一緒にまとめます。
- 指板を見続けて、顔や肩が下がる:形を確認したら目線を上げ、ときどき確かめる程度にします。見ずに押さえる練習は、少しずつ増やしましょう。
- 1本ずつ指を置いていく:指をばらばらに置くと時間がかかります。形を一つのかたまりとして覚え、まとめて動かす意識を持ちます。
- 切り替えのたびに演奏が止まる:右手のストロークを止めず、左手が間に合わなくても拍を続けます。
- 力いっぱい速く動かそうとする:力むと動きがぎこちなくなります。ゆっくり正確に行い、速さは後からついてくると考えます。
- フレットから離れた位置を押さえてしまう:フレットのすぐ手前を押さえると、軽い力で音が出やすいといわれます。形を作り直して、位置を確かめます。
- 切り替えたあと、音がこもる、鳴らない弦がある:指が寝て、隣の弦に触れている可能性があります。指を立てて、1本ずつ弾いて確認します。原因の探し方は、コードを押さえても音がビビる・鳴らないときの原因は?確認したい6つのポイントで詳しく紹介しています。
うまくいかないときのチェックポイント
- 指が弦から離れすぎていないか:弦の近くを保つと、移動距離が短くなります。
- 見ないと押さえられない状態か:ネックを見ずに押さえる練習を取り入れる。
- 力が入りすぎていないか:肩や腕に力が入ると、動きが遅くなります。
- 親指の位置が毎回変わっていないか:親指をネックの裏に添える位置を安定させる。
1週間の進め方の例
目安としての一例です。体調や時間に合わせて、変えて構いません。
- 1〜2日目:AmとEmの2つだけを往復します。形を覚え、指を浮かせすぎない動きを確認します。
- 3〜4日目:AmとCに替えて、動かさない指を意識します。
- 5日目:CとGを往復します。
- 6日目:C・G・Am・Emを順番に、1小節ずつ弾きます。
- 7日目:休む日にして、できるようになったことを見返します。
できなかった日があっても、最初からやり直す必要はありません。前回の続きから再開しましょう。
同じ組み合わせを何日続けても構いません。形が安定してから次へ進むほうが、結果として身につきやすいといわれます。焦って増やすより、今の組み合わせが楽に弾けるかどうかを基準にしましょう。
簡単な進行で練習する
次のようなシンプルなコード進行で、コードチェンジを練習してみましょう。ひとつは、C・G・Am・Emの4つを順番に1小節ずつ弾く進行、もうひとつは、AmとEm、あるいはCとGの2つだけを行き来する進行です。まず2つのコードから始めて、できるようになったら3つ、4つへと増やすと、無理なく進められます。
練習の効果は、焦らず続けることで少しずつ表れます。できなかったことが、数日後に急にできるようになる、という経験も多くあります。無理せず、気長に取り組んでください。
上達しているかを確かめる目安
コードチェンジの上達は、速さだけでは測れません。次のような変化があれば、順調に進んでいるといえます。
- 切り替える前に、次の形が頭に浮かぶようになった。
- 指板を見る回数が、少しずつ減ってきた。
- 切り替えても、右手のリズムが途切れにくくなった。
- 押さえたときに、音がきれいに鳴る回数が増えた。
一つでも当てはまれば、前に進んでいます。変化が小さくても、記録に残して見返すと励みになります。
練習後のチェックリスト
- 形を作ったとき、全部の弦が鳴りましたか。
- 切り替えのとき、右手のリズムを止めずにいられましたか。
- 動かさなくてよい指を、置いたままにできましたか。
- 肩や腕に力が入っていませんでしたか。
- 疲れる前に、練習を区切れましたか。
- 今日の回数や気づいたことを、メモに残しましたか。
メモには、日付、組み合わせたコード、1分間にできた回数を書くと、変化が見えやすくなります。テンポは、遅めから始めて、少しずつ上げていきましょう。
よくある質問
どのくらいで、コードチェンジが速くなりますか。
個人差がありますが、毎日少しずつ練習を続けることで、数週間のうちに、変化を感じる人が多いようです。
見ないで押さえられるようになるには、どうすればよいですか。
最初は、ネックを見ながら、確実に押さえます。慣れてきたら、目を閉じて、指の感覚だけで押さえる練習を、少しずつ取り入れてみましょう。
速い曲で、コードチェンジが間に合いません。
まずは、ゆっくりしたテンポで、確実にチェンジできるようにします。そのうえで、少しずつテンポを上げていきましょう。
毎日練習できないときは、どうすればよいですか。
短い時間でも、できる日に、少しずつ続けるのが大切です。1日5分でも、積み重ねれば、効果が出てきます。
指が届かず、形がくずれてしまいます。
手の大きさや指の長さによって、押さえやすさは変わります。無理に広げようとせず、親指をネックの裏に添える位置を少し変えたり、指を立てて押さえたりして試してみましょう。Fのように指を大きく使う形は、別の段階的な練習が必要になるため、まずは小さな形から慣らしましょう。
まとめ
コードチェンジは、すぐにできるようになるものではありません。焦らず、ゆっくり、正確に、少しずつ慣れていきましょう。
