湿度・温度の目安はどのくらい?
ギターは木でできているため、湿度や温度の変化で膨らんだり縮んだりします。メーカーの案内では湿度45〜55%前後が目安とされ、楽器店には40〜50%と案内するところもあります。つまり50%前後を中心にした幅で、あくまで目安です。
乾燥しすぎると反りや割れ、高湿度では木材の膨張や金属パーツの錆びにつながるといわれます。部屋の湿度は湿度計で確認すると確実です。ただし、直射日光や冷暖房の近くに置くと正しく測れません。
温度は人が快適に過ごせる範囲が基本です。急激な温度変化は塗装の小さなひび割れの原因になるとされるため、寒い場所から暖かい部屋へ持ち込んだら、ケースに入れたまま少しずつ慣らしましょう。
保管方法は、ケースに入れる方法とスタンドに置く方法があります。ケースは湿度を一定に保ちやすく収納もしやすい反面、弾くたびに取り出す手間があります。出しておけば手軽に弾けて状態もすぐ確認できますが、部屋全体の湿度管理が必要になります。生活スタイルに合う方法を選びましょう。どちらの場合も、ギターは人が快適に過ごせる環境が適しているため、人が長時間いない物置や窓際、押し入れの奥などは避けるのが無難です。
保管環境を整える手順
はじめに、置き場所を決める流れを確認しましょう。
- 湿度計を用意して、ギターを置く予定の場所の近くに置きます。
- 1〜2日ほど、朝と夜の数値を見て、おおよその傾向を知ります。
- 直射日光、窓際、エアコンや暖房の風が当たる場所、外気で冷えやすい壁際を、候補から外します。
- 残った場所のうち、人が普段過ごす部屋で、倒れる心配がない場所を選びます。
- ケースに入れる場合は、調湿剤を入れ、製品の説明に従って交換時期を決めます。
- しばらく使ってみて、数値や楽器の状態に変化がないか見直します。
一度決めたら終わりではなく、季節が変わるたびに見直すと安心です。
置き場所と日常のお手入れ
- 直射日光、窓際、エアコンの風が当たる場所は避けます。風が直接当たると、塗装の割れや変形につながるおそれがあるといわれます。
- 演奏後は乾いたクロスで、手の汗や皮脂を弦・ネック・ボディから拭き取ります。放置すると弦やフレットが錆びる原因になります。
- ボディの手入れは仕上げによって適した方法が異なります。溶剤やアルコールで傷む場合もあるため、取扱説明書やメーカーの案内を確認してください。
- ローズウッドなど無塗装の指板は、弦交換のときにレモンオイルなどを少量塗ると乾燥の予防になるとされます。メイプルなど塗装された指板には不要です。
- ストラップピンやペグ、ジャックにゆるみがないか、ときどき確認します。ゆるみは演奏中の落下やガタつきの原因になります。
- 弦の交換は、毎日弾くなら数週間〜1か月、あまり弾かないなら3か月程度が一つの目安です。
季節ごとの注意
梅雨の時期は湿気が高くなり、ネックの反りや弦の錆びが起きやすいとされるため、風通しのよい場所を選び、ケースの中では調湿剤を使うと安心です。一方、冬は暖房で室内が乾燥しやすくなります。暖房器具の近くや、外気で冷えやすい壁際を避け、湿度計の数値を見ながら管理しましょう。加湿器を使う場合も、ギターの真横ではなく離して置くのが一般的な注意です。
長期間弾かないときの注意
- ケースに入れ、乾燥剤ではなく湿度を調整するタイプの調湿剤を併用します。乾燥剤は湿気を吸う目的の製品のため、ギターには調湿剤を使うよう案内されています。
- メーカーによっては、長く使わない間は弦を緩めて負担を減らすよう案内しています。方針は楽器によって異なるため、取扱説明書や購入店に確認すると安心です。
- 調湿剤には交換時期があります。製品の説明を確認し、効果が切れていないか見直しましょう。
- 夏の車内など高温になる場所には置かないでください。
- ときどきケースから出し、ネックの反りや弦の錆びを確認します。
ネックの反りなど自分で判断しにくい症状は、無理に直さず楽器店やリペアに相談しましょう。
参照:Martin Guitar「Care & Feeding Guide for Your Martin Instrument」
参照:Taylor Guitars Wood & Steel「5 Guitar Care Essentials」
参照:島村楽器「【ギターケア】大事な楽器を守り隊!~アコギの湿度管理編~」
参照:島村楽器「湿度調整でギターの体調管理。おひとつポン!と入れるだけ。【ギターを長く使うコツpart4】」
参照:@DIME「初心者必読!ギターを長く使い続けるために必要なメンテナンスと便利グッズ5選」
参照:島村楽器「梅雨目前!ギターの保管方法を見直して弾きやすい状態を維持するコツ」
日常のお手入れの手順
弾き終わったら、弦と指板、ボディを、乾いた柔らかい布で軽く拭く習慣をつけましょう。手の汗や皮脂は、弦の劣化や錆びの原因になるといわれます。特に弦は、指で押さえる部分に汗がつきやすいので、1本ずつ布で挟んで、すべらせるように拭くとよいでしょう。拭いたあとは、ケースやスタンドへ戻します。
ケースとスタンドの使い分け
ケースに入れて保管すると、直射日光や急な温度変化、ほこりなどから守りやすくなります。一方で、スタンドや壁掛けは、取り出す手間がなく、気軽に弾けるので、練習が続けやすい利点があります。スタンドを使う場合は、直射日光やエアコンの風が直接当たる場所、窓際、暖房器具のそばを避けましょう。倒れないように、安定した場所に置くことも大切です。
月に一度の点検の手順
難しい作業は必要ありません。次の順に、目で見て、手で触れて確かめましょう。
- 部屋の湿度計の数値を見て、目安の範囲から大きく外れていないか確かめます。
- ケースから出して、弦に錆びや黒ずみがないかを見ます。
- 指板とフレットのまわりに、汚れがたまっていないかを見ます。
- ボディとネックの継ぎ目、ブリッジのまわりに、浮きやすき間がないかを見ます。
- ペグやストラップピンにゆるみがないか、軽く触れて確かめます。
- 調湿剤を使っている場合は、交換時期を過ぎていないかを確かめます。
- 気になる変化があれば、自分で直さず、楽器店や修理工房に相談します。
点検で気になる点が見つかっても、慌てる必要はありません。写真を撮っておくと、楽器店で相談するときに状態を伝えやすくなります。
ネック、フレット、ブリッジなどの言葉が分からないときは、ギター用語集 初心者がまず知りたい基本の言葉で確認できます。
ネックの状態の確認
湿度や温度が大きく変わると、ネックがわずかに反ったり、弦高が変わったりすることがあります。いつもより弦が高く感じる、ビビりが増えたといった変化があれば、保管環境や楽器の状態を見直すサインかもしれません。ネックの調整は専門的な知識が必要なので、自分で無理に行わず、楽器店や修理工房に相談してください。
初心者がやりがちな失敗と直し方
多くの人がつまずきやすい点を、直し方と一緒にまとめます。
- 弾き終わったあと、そのまま置く:汗や皮脂が残り、弦が錆びやすくなります。弾き終わったら、乾いた布で拭く習慣をつけます。
- 窓際やエアコンの近くに置く:直射日光や風の影響を受けやすくなります。人が普段過ごす部屋で、日当たりや風の影響が少ない場所に変えます。
- 寒い場所から持ち込んで、すぐにケースを開ける:温度差で塗装を傷めるおそれがあります。ケースに入れたまま、しばらくなじませます。
- 乾燥剤をそのまま入れる:ギター用には、湿度を調整するタイプの調湿剤が案内されています。製品の説明を確認して選びます。
- 湿度を測らずに、感覚だけで管理する:湿度計を置いて、数値で見る習慣をつけます。
- 加湿器をギターの真横に置く:湿度が上がりすぎる場所ができます。離して置きます。
- ネックの調整を自分で試す:専門的な知識が必要です。気になるときは、楽器店に相談します。
- お手入れ用品を、説明を読まずに使う:仕上げによっては合わないものがあります。必ず説明を確認します。
こんな変化に気づいたときの考え方
変化に早く気づくほど、対処しやすくなります。次のような見方が目安です。自己判断が難しいときは、楽器店に相談してください。
- 弦がいつもより高く感じる:湿度や温度の変化でネックが動いている可能性があります。保管環境を見直し、続くときは楽器店に相談します。
- ビビりが増えた:弦高の変化や、弦の劣化が関わることがあります。弦の状態を確認し、改善しないときは相談します。
- 音程が狂いやすくなった:温度や湿度の変化、弦の劣化などが関係するといわれます。チューニングし直しても安定しないときは、弦の交換や点検を検討します。
- ボディの表面に細かなひびが見える:急な温度変化が関わることがあります。広がるおそれがあるため、自分で直さず、早めに相談します。
- 金属パーツが曇る、錆びる:湿気や汗が関係しているといわれます。乾いた布で拭き、ひどい場合は相談します。
どの変化も、すぐに大きな問題とは限りません。ただ、気づいたときの状態をメモや写真で残しておくと、あとで相談するときに役立ちます。
持ち運びのときの注意
- 車内に長時間置かない:夏は高温、冬は低温になり、楽器を傷める原因になります。
- 温度差の大きい場所へ移動したときは、ケースに入れたまま、しばらく置いてから開ける。
- 電車や車での移動中は、ケースの向きや、荷物の重なりに注意する。
お手入れ用品の例
- 柔らかい布(クロス):日常の拭き取り用。
- ギター用のクリーナーやポリッシュ:汚れや曇りが気になるときに、製品の説明に従って使う。
- 指板用のオイルやクリーナー:素材に合ったものを、説明を確認して使う。
- 調湿剤や乾燥剤:ケース内の湿度管理に使う。
お手入れ用品は、楽器の素材や塗装によって、使えるものが異なります。使う前に、必ず製品の説明を確認してください。
お手入れ習慣のチェックリスト
やることを時期ごとに分けると、続けやすくなります。
弾き終わるたびに
- 弦、指板、ボディを乾いた布で拭いた。
- ケースか、安定したスタンドに戻した。
月に一度
- 前の章の点検の手順で、全体を見た。
- 湿度計の数値を確認した。
季節の変わり目と、弦を替えるとき
- 置き場所が、直射日光や風の通り道になっていないか見直した。
- 調湿剤の状態を確認した。
- 弦を替えるときに、指板まわりもお手入れした。
弦を交換するときは、全体を整える良い機会です。やり方は、アコギの弦交換のやり方 手順と交換の目安を解説を参考にしてください。
よくある質問
湿度計は、あったほうがよいですか。
保管場所の湿度の目安がわかるので、あると便利です。ケースや部屋に置いて、確認する習慣をつけるとよいでしょう。
ハードケースとソフトケースは、どちらがよいですか。
ハードケースは、衝撃に強く、保管にも向いています。ソフトケースは、軽くて持ち運びやすい利点があります。使い方に合わせて選びましょう。
弦は、緩めて保管したほうがよいですか。
長期間弾かないときに、緩める人もいます。楽器や弦によって、考え方が異なるので、楽器店や、メーカーの案内を確認してください。
お手入れは、どのくらいの頻度でするとよいですか。
弾き終わるたびに乾いた布で拭くことが基本です。そのうえで、月に一度ほど、点検の手順で全体を見ると安心です。頻度はあくまで目安なので、楽器の状態や環境に合わせて調整してください。
夏と冬では、どちらに気をつけたほうがよいですか。
どちらにも注意が必要です。梅雨や夏は湿気、冬は暖房による乾燥が心配されます。季節ごとの注意の章を参考に、湿度計の数値を見ながら対応しましょう。
まとめ
ギターは、環境の変化に敏感な楽器です。毎日の小さなお手入れと、保管環境の見直しが、長く良い状態で使い続けるコツです。
日々の簡単な習慣
弾き終わったら、弦と指板を柔らかい布で軽く拭き、ケースやスタンドに戻す習慣をつけると、楽器を良い状態に保ちやすくなります。小さな習慣の積み重ねが、楽器を長く使うことにつながります。
