ストロークの基本 ダウンとアップの動かし方と、最初に覚えたい8ビートのパターン

弾き語りの基本になるのが、ピックや指で弦をまとめて弾く「ストローク」です。コードを押さえられるようになったら、右手の動かし方を練習してみましょう。ここでは、ストロークの基本から、最初に覚えたい8ビートのパターン、練習の進め方、つまずきやすい点まで、順を追って紹介します。

ダウンとアップ

  • ダウンストローク:上(太い弦側)から下(細い弦側)へ向けて弾く動きです。
  • アップストローク:下から上へ向けて弾く動きです。

動かすときは、腕全体ではなく、肘を軽く支点にして、手首を使って振ると、力みにくいといわれます。アップのときは、細い弦側の数本(3〜4本)だけを弾いても構いません。全部の弦を弾こうとすると、音が重くなったり、手が引っかかったりしやすくなります。

アップストロークが苦手なときの練習

  1. 弦に当てずに、手首を使って「下・上」と空振りをします。
  2. アップのときだけ、細い弦側の数本に軽く当てます。
  3. ダウンとアップを交互に、ゆっくり弾きます。
  4. 慣れてきたら、表拍のダウンを少し強めにします。

ピックの持ち方

ピックは、親指と人差し指の側面で軽くはさみ、先端を数ミリだけ出して持ちます。強く握りすぎると、手首や腕が固くなり、リズムが重くなります。軽く持って、弦に当たったときに少し動く程度が目安です。

8ビートとは

1小節を4拍で数えて、1拍を「ダウン・アップ」の2つに分けて弾くリズムが8ビートです。数え方は「1と 2と 3と 4と」で、数字のところがダウン、「と」のところがアップになります。ポップスや弾き語りの曲に多いリズムで、これを身につけると、多くの曲に応用できます。

最初に覚えたいパターン

よく使われるパターンの一例は、次のとおりです。1拍目の表にダウン、2拍目の表にダウン、2拍目の裏にアップ、3拍目の裏にアップ、4拍目の表にダウン、4拍目の裏にアップ、という動きです。3拍目の表は、弦に当てずに手だけ動かす(空振り)のが基本です。

手はずっと「下・上・下・上」と一定に振り続け、弾かない拍では弦に当てないようにするのが、リズムを崩さないコツです。

拍ごとの手の動き

先ほどのパターンを、拍ごとに書き出すと次のようになります。かっこ内は、手だけ動かして弦に当てない「空振り」です。

  • 1拍目:ダウン
  • 1拍目の裏(と):(アップの空振り)
  • 2拍目:ダウン
  • 2拍目の裏(と):アップ
  • 3拍目:(ダウンの空振り)
  • 3拍目の裏(と):アップ
  • 4拍目:ダウン
  • 4拍目の裏(と):アップ

8ビートを身につける手順

  1. メトロノームを遅めのテンポに合わせます。使い方は、メトロノームの使い方の記事で紹介しています。
  2. 左手でコードを押さえず、弦に軽く触れて音を止めた状態にします。
  3. 「1と 2と 3と 4と」と、声に出して数えます。
  4. まず、数字のところだけダウンで弾きます。4つ打ちの形です。
  5. 手を「下・上・下・上」と振り続けながら、「と」のところの動きを加えます。
  6. 弾く拍だけ弦に当てて、ほかの拍は空振りにします。
  7. 1小節をくり返し、動きが安定したら、1つのコードを押さえて同じ動きをします。
  8. 最後に、2つのコードを切り替えながら続けます。

強弱(アクセント)をつける

すべてのストロークを同じ強さで弾くと、単調に聞こえがちです。表拍のダウンを少し強め、裏拍のアップを軽めに弾くと、リズムに弾みが生まれます。力を入れすぎず、手首の動きの大きさや、弦に当てる深さで調整するのがコツです。

ミュートを加えたストローク

弦を弾いた直後に、右手の手のひらの側面を、弦に軽く触れさせて音を止める方法があります。音を短く切ることで、歯切れのよいリズムが生まれます。ただし、強く押さえすぎると音が出なくなるので、最初は軽く触れる程度から試してください。

ほかのリズムとの違い

  • 4つ打ち:1拍に1回、ダウンだけで弾く方法です。いちばん簡単で、8ビートの前の練習に向いています。
  • 8ビート:1拍をダウンとアップの2つに分けて弾く方法で、この記事で紹介した基本のパターンです。
  • 16ビート:1拍を4つに分けて弾く方法で、細かく速いリズムになります。慣れてから挑戦するのがおすすめです。

練習の進め方

  • 左手でコードを押さえず、弦に軽く触れて音を止めた状態で、右手だけを練習する。
  • メトロノームを遅めのテンポ(たとえば60前後)に設定して、1小節ずつ数えながら弾く。
  • 1つのコードを押さえて、同じパターンを繰り返す。
  • 2つのコードを切り替えながら、パターンを続ける。
  • コードチェンジが間に合わなければ、コードは変えずに、リズムを優先する。
  • 慣れたら、曲に合わせて弾いてみる。

歌いながら弾くには

最初から歌いながら弾こうとすると、難しく感じる人が多いといわれます。まずは歌わずに、右手のリズムが自然に出るようにします。次に、口ずさみながら弾き、最後に歌詞をつけていくと、無理なく進められます。

歌いながら弾く手順

  1. 歌わずに、右手のパターンを安定させます。
  2. コードの切り替えを入れて、右手が止まらないか確かめます。
  3. ハミングや口ずさみで、メロディーを重ねます。
  4. 歌詞をつけて、ゆっくり通して歌います。
  5. うまくいかない箇所は、一段階前に戻ってやり直します。

よくあるつまずき

  • 力みすぎる:腕や肩に力が入ると、動きが固くなります。手首を柔らかく使うことを意識してみましょう。
  • アップで全部の弦を弾いてしまう:細い弦側の数本だけを弾くようにすると、音がすっきりします。
  • リズムが速くなる:メトロノームを使って、一定の速さで弾く練習をしましょう。
  • 左手が間に合わない:右手のリズムを止めないことを優先し、コードチェンジはゆっくり練習します。

よくある質問

ダウンだけで弾いてもいいですか。

問題ありません。ダウンだけの4つ打ちは、リズムの土台作りに向いています。慣れてから、アップを加えていくとよいでしょう。

速い曲では、どうすればよいですか。

まずは遅いテンポで、パターンを正確に弾けるようにします。そのうえで、少しずつテンポを上げていきます。

手首が疲れます。

力が入りすぎている可能性があります。弦に当たる深さを浅くしたり、休憩を挟んだりして、無理のない範囲で続けてください。

自分のリズムが合っているかわかりません。

メトロノームに合わせて弾き、スマートフォンなどで録音して聞き返すと、ずれに気づきやすくなります。

指でストロークしてもよいですか。

できます。人差し指などの指で弦をなでるように弾く人もいます。ピックとは音色が変わるので、好みで選んでください。指で1本ずつ弾く方法は、アルペジオ入門の記事で紹介しています。

初心者がよくやる失敗と直し方

  • 失敗:空振りの拍で手が止まってしまう。直し方:手は止めず、動かし続けます。「空振り」と声に出しながら振ると、感覚がつかみやすくなります。
  • 失敗:数えずに、感覚だけで弾く。直し方:最初は「1と 2と 3と 4と」を声に出します。慣れたら、頭の中で数えましょう。
  • 失敗:左手のコードチェンジに気を取られて、右手が止まる。直し方:右手だけの練習に戻り、動きが自然に出るまで繰り返します。
  • 失敗:ピックを強く握り、手首が固くなる。直し方:指の側面で軽くはさみ、持つ位置も見直します。種類を変えて試す方法もあります。くわしくは、ピックの選び方の記事を参考にしてください。
  • 失敗:最初から速いテンポで練習する。直し方:遅いテンポで正確に弾けてから、少しずつ上げます。

右手の動きをなめらかにするコツ

  • 手首は、ドアノブを回すような感覚で、軽くひねる動きにする。
  • 肘は体に軽くつけて、安定させる。
  • 弦に当てる深さは浅めにして、ピックが弦に引っかかりすぎないようにする。
  • 強く弾こうとするより、一定の動きを保つことを優先する。

動きが固いと感じるときは、まず力を抜いて、ゆっくり動かすことから始めてみましょう。

ストロークと左手のタイミング

コードチェンジは、拍の頭の少し前に、指を動かし始めると、間に合いやすくなります。次のコードの形を、前もって頭の中で思い浮かべておくと、切り替えがスムーズになります。右手のリズムを止めないことを、いつも優先してください。

曲を選ぶときの目安

ストロークの練習に使う曲は、テンポがゆっくりめで、8ビートのシンプルな曲から選ぶと、取り組みやすいといわれます。曲によって、合うパターンは異なるので、まずは基本のパターンで、無理なく弾けるかを確かめましょう。曲を何度も聞いて、リズムの流れをつかんでから弾くと、手の動きが自然に出やすくなります。

簡単な曲で試す流れ

  1. 曲に出てくるコードを書き出し、基本の8コードの記事などで押さえ方を確認します。
  2. 曲のテンポより遅く設定して、右手のパターンを1つに決めます。
  3. 最初の1行だけを、くり返し弾きます。
  4. コードの切り替えで止まる箇所を見つけて、そこだけを集中して練習します。
  5. 1行ずつ増やして、最後に通して弾きます。

練習の記録と見直し

スマートフォンなどで、自分の演奏を録音して聞き返すと、リズムのずれや、強弱の偏りに気づきやすくなります。気になった点をメモしておき、次の練習で、意識して直していくと、上達が早くなるといわれます。できたことも、メモしておくと、モチベーションの維持につながります。

録音を聞くときは、次の点に注目します。

  • テンポが速くなったり、遅くなったりしていないか。
  • 表拍のダウンが、アップより少し強く聞こえるか。
  • 空振りにしたい拍で、音が出ていないか。

音がうまく鳴らないときの確認

  • ピックが弦に浅くしか当たっていない:当てる深さを、少しだけ増やしてみる。
  • ピックを強く握り、手の動きが小さくなっている:持ち方をゆるめて、手首を使って振る。
  • 左手の指が、ほかの弦に触れている:指先を立てて押さえ直す。

それでも音がびびったり、鳴らなかったりするときは、音がビビる・鳴らないときの原因の記事も確認してみましょう。

テンポごとの練習の目安

最初は、ゆっくりしたテンポで、1拍ずつ丁寧に右手を動かします。慣れてきたら、メトロノームのテンポを少しずつ上げていきます。急に速くすると、フォームが崩れやすくなるため、ひとつのテンポで安定して弾けるようになってから、次に進むのがおすすめです。

テンポを少しずつ上げる手順

  1. 遅いテンポで、1小節を正確に弾けるようにします。
  2. メトロノームのテンポを、数BPMだけ上げます。
  3. 同じパターンを、数回くり返します。
  4. 動きが崩れたら、前のテンポに戻して、確かめ直します。
  5. 安定して弾けたら、さらに少し上げます。

弾く弦の範囲を意識する

コードによって、鳴らす弦の本数が異なります。たとえば、ルートの音が5弦にあるコードでは、6弦を弾かないようにします。右手は同じ動きをしながらも、狙う弦の範囲を意識すると、響きがすっきりします。

まとめ

ストロークは、ギターの伴奏の土台となる弾き方です。ダウンとアップを、一定のテンポで繰り返す感覚を大切にして、まずはゆっくりしたテンポから練習してみてください。毎日少しずつ続けることが、上達の近道です。

練習メニューの例(15分)

  • 最初の3分:弦を軽くミュートして、ダウンだけで4つ打ちをする。
  • 次の4分:ミュートした状態で、8ビートの右手の動きを練習する。
  • 次の5分:Emなど1つのコードを押さえて、8ビートをくり返す。
  • 最後の3分:EmとAmなど、2つのコードを切り替えながら続ける。

毎回同じ順番で行うと、右手の動きが整いやすくなります。

練習後のチェックリスト

  • 空振りの拍でも、手が止まっていない。
  • 手首や肩に、余計な力が入っていない。
  • メトロノームのテンポから、ずれていない。
  • 弾かない弦に、ピックが当たっていない。
  • 録音を聞いて、表拍と裏拍の強弱が確かめられた。

練習前のウォームアップ

練習を始める前に、手首や指を軽く回して、ほぐしておきましょう。冷えた状態で急に弾き始めると、動きが硬くなり、リズムも乱れやすくなります。空の弦をゆっくり数回ストロークするだけでも、ウォームアップになります。

練習時間の考え方

1回の練習は、短くても構いません。右手は同じ動きを繰り返すため、疲れがたまりやすい部分です。疲れたと感じたら、いったん手を休めましょう。手首や腕に痛みが出たり、痛みが続いたりするときは、無理をせず、医師に相談してください。

次のステップ

8ビートが安定したら、コードの切り替えを組み合わせて、短い曲を通して弾いてみましょう。曲に合わせて、強弱を変えたり、ミュートを加えたりすると、演奏に表情が出てきます。また、右手のパターンを変えて、曲の雰囲気に合う弾き方を探していくのも、よい練習になります。

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