ギターは、演奏する前にチューニング(音程合わせ)をするのが基本です。音程が合っていないと、正しいコードを押さえても濁って聞こえます。ここでは、レギュラーチューニングの音名、チューナーの使い方、狂いやすい原因と対策を、初心者向けにまとめます。
レギュラーチューニングの音名(6弦〜1弦)
一般的なレギュラーチューニングでは、開放弦の音は太い6弦から細い1弦へ、次のとおりです。
- 6弦:E(ミ)
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:B(シ)
- 1弦:E(ミ)
6弦と1弦は同じE(ミ)ですが、高さは2オクターブ違います。基準となる音の高さは、A=440Hzが一般的とされています。ほかの楽器と合わせるときは、事前に基準音を確認しておくと安心です。なお、「ミ・ラ・レ・ソ・シ・ミ」と太い弦から声に出して唱えながら鳴らすと、順番を覚えやすくなります。
「ナット」「ヘッド」などの言葉が分からないときは、ギター用語集で確認できます。
チューナーの使い方
初心者には、ヘッドに挟むクリップ式チューナーが使いやすいタイプです。弦の振動を直接拾うため、周りの音の影響を受けにくいとされています。ケーブルでつなぐタイプやマイクで拾うタイプもあります。音名を自動で判定するクロマチックタイプなら、弦を鳴らすだけで今の音名とずれがわかります。
- チューナーの電源を入れ、レギュラーチューニングに設定します。
- 6弦から順に、開放弦を1本ずつ鳴らします。強く弾きすぎず、普段どおりの強さで鳴らしましょう。
- 表示された音名を確認し、メーターが真ん中に来るようペグを回します。
- 音が低いときは、ペグを回して音を上げて合わせます。
- 6本を合わせ終えたら、もう一度6弦から確認します。1本を動かすと、ほかの弦の張りが少し変わることがあるためです。
耳で合わせる方法もありますが、まずはチューナーで正しい音の高さを覚えることから始めるのがおすすめです。
チューナーの表示の見方
多くのチューナーは、目的の音より低いか高いかを、メーターや色で知らせてくれます。表示の左側は低い側(♭)、右側は高い側(♯)を表すのが一般的です。真ん中に来て、色が変わったら、目的の音に合ったサインです。機種によって表示が違うので、説明書や画面の案内を確認してください。
音名の横の「♭」や「♯」は、半音低い、半音高いという意味です。レギュラーチューニングの6本は、どれも♭や♯のつかない音名なので、画面にこれらの記号が出たときは、半音ずれていると考えて、目的の音名に近づけます。
初心者がつまずきやすい点と直し方
多くの人が、次のような点でつまずきます。
- 数字がふらふら揺れる:弦を強く弾きすぎていることが多いようです。普段より少し弱めに弾き、音が落ち着いてから表示を見ます。
- 回す向きが分からない:ペグを回す向きは、ギターによって違って感じることがあります。少しだけ回して、メーターが上がるか下がるかを確かめましょう。
- 目的と違う音名が出る:音程が大きく外れていると、隣の音名が表示されます。たとえば5弦を合わせるのにGが出たら、先に低い音から目的の音の近くまで上げていきます。
- 隣の弦の音をひろってしまう:鳴らす弦以外は、指の腹で軽く触れて響きを止めると、判定が安定しやすくなります。
- 合わせたはずなのに、すぐ戻る:1本を動かすと、ほかの弦の張りも少し変わります。6弦から1弦まで合わせたあと、もう一度6弦から確認しましょう。
ペグを回すときの小さなコツ
- 音を鳴らし続けながら、ペグを少しずつ回します。
- メーターの針が動く向きを見ながら、真ん中に近づけます。
- 真ん中を通り過ぎたら、少し戻して、もう一度近づけます。
- 真ん中に来たら、ペグから指を離して、もう一度弦を弾いて確認します。
音を上げすぎないための注意
チューニングは、低い音から目的の音へ上げて合わせるのが一般的です。目的の音を行き過ぎてしまったら、いったん低めに戻してから、あらためて上げて合わせます。ペグをゆるめた状態で合わせると、ムラが出て狂いやすくなるといわれています。
音を上げすぎると、弦が切れたりネックに負担がかかったりします。弦が切れると、はねて顔や手を傷つけるおそれもあるため、ペグを回すときは弦に顔を近づけすぎないようにしましょう。
チューニングが狂いやすい原因と対策
狂いやすい原因には、主に次のものがあります。
- 張ったばかりの新しい弦が伸びる
- 温度や湿度の変化で、弦やネックの状態が変わる
- 強く弾くなど、演奏そのものによる張りの変化
- 古くなった弦が、弾力を失っている
対策としては、まず新しい弦を張った直後に、軽く持ち上げて伸ばし、再度チューニングしましょう。強く引きすぎると切れるので、やさしく行います。次に、古い弦は交換し、演奏前にその都度チューニングを確認します。急な温度や湿度の変化がある場所に置かないことも、一般には効果的だとされます。
原因がわからないときは、弦が新しいか、最近の環境に変化がないかなどを順に確認すると、切り分けやすくなります。
それでも改善しない場合は、ペグのゆるみなど楽器側の不具合かもしれません。楽器店に相談するのも一つの方法です。また、開放弦は合っているのにフレットを押さえると音程がずれる場合は、オクターブ調整が必要なことがあります。難しい作業なので、楽器店への相談がおすすめです。ギターを高温になる車内などに置くと、ネックなどに悪影響が出ることがあるため、保管場所にも気を配りましょう。ギターの保管とお手入れの記事も参考にしてください。弦の寿命が気になるときは、アコギの弦交換のやり方も確認してみましょう。
原因の切り分け手順
- 弦を替えてからの期間を思い出します。張ったばかりなら、弦の伸びが原因のことが多いようです。
- ペグを軽く触り、ぐらつきや空回りがないか確かめます。
- 置き場所を見直します。直射日光の当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所は避けます。
- 6本の狂い方を見ます。全部の弦が同じ向きにずれるときは、温度や湿度の変化の影響が考えられます。
- 特定の1本だけが狂うときは、その弦とペグを重点的に確認します。
参照:サウンドハウス「ギターのチューニング方法 開放弦の音を聞いてみよう」
参照:RAG Music ギター入門「よくわかるギターチューニングの基本」
参照:D’Addario「How to Tune a Guitar」
参照:Fender「Standard Tuning: How EADGBE Came to Be」
参照:島村楽器 Update!「「新しい弦はまず伸ばす」 “STRETCHA”のストリング・ストレッチャー登場」
参照:D’Addario「How to Restring an Acoustic Guitar」
チューナーの種類
チューナーには、ヘッドに挟んで振動で音を拾うクリップ式、マイクで音を拾うタイプ、スマートフォンのアプリなどがあります。クリップ式は、周りの音が大きい場所でも使いやすいといわれます。マイク式やアプリは手軽ですが、周囲が騒がしいと正しく判定しにくいことがあります。
選ぶときは、次の点が目安になります。
- 表示が見やすく、暗い場所でも読み取りやすいか。
- ヘッドに付けたとき、しっかり固定できるか。
- レギュラーチューニング以外の設定も、必要に応じて使えるか。
各弦の基準となる音の高さ
レギュラーチューニングの各弦を、周波数で表すと、おおむね次のようになります。6弦のEは約82.4Hz、5弦のAは110Hz、4弦のDは約146.8Hz、3弦のGは196Hz、2弦のBは約246.9Hz、1弦のEは約329.6Hzです。多くのチューナーは、基準を5弦開放のA=440Hzとして計算しています。
ハーモニクスで合わせる方法
チューナーがなくても、隣り合う弦のハーモニクス(軽く触れて出す倍音)を使って、音を合わせる方法があります。6弦の5フレットのハーモニクスと、5弦の開放弦(A)を同時に鳴らし、音の「うなり」がなくなるように調整します。同様に、5弦5フレットと4弦開放、4弦5フレットと3弦開放、3弦4フレットと2弦開放、2弦5フレットと1弦開放を、順番に合わせていきます。まずはチューナーで合わせてから、耳で確かめる練習として試すのがおすすめです。
合っているかの確認
チューナーで合わせたあとに、コードを弾いて響きを聞いてみましょう。全体的にきれいに響いていれば、問題ありません。特定の位置を押さえると音が合わないと感じるときは、楽器の調整が必要な場合があるので、楽器店に相談してみてください。
コードで確かめる手順
- 押さえやすいコードを、ゆっくり1つ選びます。
- 1本ずつ弦を鳴らして、濁りやふらつきがないか聞きます。
- 気になる弦があれば、その弦だけチューナーで確かめます。
- 直したあとに、もう一度コードを鳴らして、響きの変化を比べます。
チューニングを身につける練習メニュー
1日5分ほどでも、毎日続けると上達を感じやすくなります。
- 6弦から1弦まで、音名を声に出しながら、開放弦を1本ずつ鳴らします。
- チューナーを使って、6本すべてを合わせます。合わせる順番はいつも同じにします。
- 合わせ終えたら、知っているコードを弾いて、響きを確かめます。
- 慣れてきたら、1本だけ少しずらしてから、チューナーを見ずに耳で戻してみます。最後にチューナーで確認すると、耳の確かさが分かります。
- 毎回の練習の最初に、同じ手順でチューニングする流れを、体に覚えさせます。
練習前のチューニング・チェックリスト
- チューナーの設定は、レギュラーチューニングになっている。
- 6弦から順に、1本ずつ合わせた。
- 6本を合わせ終えたあと、もう一度6弦から確認した。
- 音を上げすぎたときは、低めに戻してから合わせ直した。
- 合わせたあとに、コードを弾いて響きを確認した。
演奏前の習慣
弾く前に毎回チューニングを確認するのが、基本の習慣です。弦を張り替えた直後や、温度や湿度が大きく変わったときは、特に狂いやすいので、こまめに確認しましょう。いつも同じ手順(6弦から1弦へ)で合わせるようにしておくと、確認が早く、もれもなくなります。
楽器を持ち運んだあとや、寒い場所から暖かい部屋へ移したあとは、しばらく置いて室温になじませてから合わせると落ち着きやすいといわれます。
よくある質問
チューナーの数字が揺れて安定しません。
弦を強く弾きすぎると、音程が一時的に上ずって、数字が揺れやすくなります。軽く弾いて、音が落ち着くのを待ってから、確認しましょう。
すぐに音が狂うのは、楽器が壊れているからですか。
新しい弦、ペグの状態、温度や湿度の変化などが原因のことが多いといわれます。気になる場合は、楽器店で見てもらいましょう。
半音下げのチューニングとは何ですか。
全ての弦を、半音低く合わせる方法で、曲によって使われることがあります。弦の張りが弱くなるので、押さえ方や音の響きが、いつもと少し変わります。
チューナーはどのタイプを選べばよいですか。
初心者には、ヘッドに挟むクリップ式が使いやすいといわれます。スマートフォンのアプリでも合わせられますが、周囲が騒がしい場所では判定が不安定になることがあります。使う場所に合わせて選びましょう。
チューニングを合わせたのに、コードが濁って聞こえます。
いずれかの弦がわずかにずれていることがあります。もう一度、6弦から確認してみましょう。それでも濁るときは、押さえ方や弦の状態が原因のこともあります。確認のポイントは音がビビる・鳴らないときの確認ポイントで紹介しています。
まとめ
チューニングは、毎回の練習の最初に行う、基本の習慣です。チューナーの使い方に慣れて、きれいな音で練習を始めましょう。
チューニングを習慣にするコツ
チューニングは、練習の最初に必ず行う、と決めておくと、習慣になります。弾いている途中で音が気になったときも、すぐに合わせ直せるよう、チューナーを手の届く場所に置いておくと便利です。
チューニングが終わったら、続けてメトロノームの使い方も確認しておくと、練習の流れを作りやすくなります。
