弾き語りの曲では、開放弦(押さえずに弾く弦)を使う基本のコードが数多く使われます。最初から多くのコードを覚えようとせず、よく使うものから少しずつ増やしていくと、続けやすいといわれています。ここでは、最初に覚えたい8つのコードと、押さえるときのコツ、練習の進め方を紹介します。
数字の読み方
下の数字は、6弦(いちばん太い弦)から1弦(いちばん細い弦)の順に、押さえるフレットの番号を並べたものです。0は開放弦(押さえずに弾く)、xはその弦を弾かないことを表します。
最初に覚えたい8つのコード
- C(x32010):明るい響きで、多くの曲に出てきます。
- G(320003):Cとセットで使われることが多いコードです。押さえ方には、ほかにもいくつかの形があります。
- Am(x02210):切ない雰囲気の曲でよく使われます。
- Em(022000):指2本で押さえられるので、最初の一歩として選ばれることの多いコードです。
- D(xx0232):細い弦側の3本を押さえます。
- A(x02220):3本の指を同じフレットに並べて押さえます。
- E(022100):Amと指の並びが似ています。
- Dm(xx0231):Dに近い形で、少し哀愁のある響きです。
コードの名前の読み方
コード名のアルファベットは、そのコードの中心になる音(根音)の名前を表します。Cは「シー」、Gは「ジー」、Dは「ディー」と読みます。後ろに「m」がつくものは「マイナー」と読み、一般に暗めや切ない響きになります。何もつかないものは「メジャー」で、明るい響きになるといわれます。たとえばAmは「エーマイナー」、Dmは「ディーマイナー」です。ほかの用語はギター用語集でも確認できます。
覚える順番の目安
一例として、指の並びが似ているEm・Am・Eから始める方法があります。Emの形から指を1本ずつずらすとAmやEになるので、形の違いをつかみやすいといわれます。そのあとで、C・G・D・A・Dmへ広げていくと、コード同士のつながりも練習しやすくなります。人によって覚えやすい順番は違うので、弾きたい曲で使うコードから覚えるのもよい方法です。
押さえるときのコツ
- 指先を立てて、隣の弦に触れないようにする。
- フレット(金属の線)のすぐ手前を押さえると、軽い力できれいに鳴りやすい。
- 親指はネックの裏側に添え、手のひらに余計な力を入れない。
- 押さえたあと、1本ずつ弦を弾いて、すべての音が出ているか確かめる。
押さえる前に整えたい姿勢
- 椅子に浅めに座り、背すじを軽く伸ばします。
- ギターのボディを体に当てて安定させ、ネックが下がりすぎないようにします。
- 左手の肩と腕の力を抜き、ひじを体から離しすぎないようにします。
- 親指をネックの裏に添えて、指を弦に近づけます。
Emを押さえる手順
指2本で押さえられるEmを例に、手順を細かく見ていきます。
- ギターを楽な姿勢で構え、左手の親指をネックの裏側に軽く添えます。
- 中指を、5弦の2フレットに置きます。指先を立てて、フレットのすぐ手前に当てます。
- 薬指を、4弦の2フレットに置きます。中指のとなりに並ぶ形です。
- ほかの弦に指が触れていないか、目で見て確かめます。
- 6弦から1弦まで、1本ずつゆっくり弾きます。こもる音やビビる音があれば、指の位置や角度を直します。
- 6本とも鳴ったら、4拍ぶんだけゆっくりストロークします。
ほかのコードを覚えるときも、同じ流れで確認すると、押さえ方が安定しやすくなります。
Amへの広げ方
Emに慣れたら、形が近いAmに進みます。
- Emの形から、中指と薬指を1本ぶん細い弦側へずらします。中指が4弦、薬指が3弦の2フレットに来ます。
- 人差し指を、2弦の1フレットに置きます。
- 6弦は弾かず、5弦から1弦までを1本ずつ弾いて確かめます。
コードごとのつまずきやすい点
- C:人差し指が1弦に触れて、1弦の音が止まってしまうことがあります。指先を立てて、1弦の真上を空けるようにします。
- G:指を大きく開く形なので、手が小さいと届きにくく感じることがあります。ネックを持つ位置を少し調整すると、押さえやすくなる場合があります。
- Am:3本の指が近い位置に並ぶため、窮屈になりがちです。指先を立てて、隣の弦に触れないようにします。
- Em:6本すべての弦を鳴らすコードです。弦がすべて鳴っているか、1本ずつ確認しましょう。
- D:細い弦側の3本を、狭い範囲で押さえます。指を寝かさないよう意識することが大切です。
- A:3本の指を同じフレットに並べます。窮屈な場合は、人差し指で3本をまとめて押さえる方法もあります。
- E:Amと似た形ですが、指の位置が1弦ぶんずれます。6弦まで弾いて確かめましょう。
- Dm:1弦の1フレットを押さえる指が、隣の弦に触れないよう気をつけます。
初心者がよくやる失敗と直し方
コードの練習では、多くの人が同じところでつまずきます。心当たりがないか、確認してみてください。
- 失敗:指の腹で押さえてしまい、隣の弦に触れる。直し方:爪に近い指先で、弦に対して立てるように押さえます。爪が長いと押さえにくいので、短く整える方法もあります。
- 失敗:フレットの真上や、離れた位置を押さえて、音がビビる。直し方:フレットの少し手前を狙います。原因の探し方は、音がビビる・鳴らないときの原因の記事も参考になります。
- 失敗:力を入れすぎて、手や肩が固まる。直し方:音が出る範囲で、できるだけ弱い力を探します。強く握るほどよい、というわけではありません。
- 失敗:指を1本ずつ置き直してしまい、切り替えに時間がかかる。直し方:押さえる形をひとかたまりで覚えて、まとめて動かすイメージを持ちます。
- 失敗:一度に多くのコードに手を出して、どれも中途半端になる。直し方:まず2〜3個に絞り、安定して鳴らせるようになってから増やします。
- 失敗:チューニングが合っていないまま練習する。直し方:練習の前に、チューナーで6弦から E・A・D・G・B・E の順に合わせます。音がずれていると、正しく押さえてもきれいに響きません。
弾く弦を間違えないために
コードによって、6本すべてを弾くものと、一部の弦だけを弾くものがあります。たとえばCは5弦から、Dは4弦から弾き始めます。ストロークをするとき、弾かない弦に右手が触れてしまうと、不要な音が出ます。最初は、1本ずつ弦を確認しながら、ゆっくりと弾く練習をしましょう。
基本の8コードで、弾き始める弦の目安は次のとおりです。
- 6弦から弾く:G、Em、E
- 5弦から弾く:C、Am、A
- 4弦から弾く:D、Dm
弾かない弦の数だけ、右手の動きが変わります。ストロークの前に、どの弦から弾くかを声に出して確かめるのもよい方法です。
音がこもるときの確認手順
弦が鳴らなかったり、音がこもったりしたときは、次の順番で確認します。
- 指先が立っているかを見ます。
- 押さえる位置が、フレットの少し手前かを見ます。
- 指が隣の弦に触れていないかを見ます。
- 1本ずつ弾いて、鳴らない弦を見つけます。
2つのコードを切り替える練習
- EmとAmなど、形が近い2つのコードを選ぶ。
- 1つのコードを4拍ストロークしたら、すぐ次のコードへ移る。
- 指をできるだけ弦の近くに保ち、大きく離さないようにする。
- メトロノームを遅めに設定して、拍に間に合うかを確かめる。
曲で使うときの考え方
基本のコードをすべて覚えてから曲に進む必要はありません。1曲で使うコードは、意外と少ないこともあります。まずは弾きたい曲に出てくるコードだけを覚えて、弾けるようになったら、次の曲へ進むと、練習が楽しく続けやすくなります。Fのように、人差し指で複数の弦を押さえる「セーハ」を使うコードは、基本の8コードに慣れてから挑戦するのがおすすめです。
曲のコードを覚える手順
- 弾きたい曲のコード譜を開き、出てくるコードを書き出します。
- 知らない形は、コードダイアグラムの読み方を見ながら、押さえ方を確かめます。
- コードを1つずつ押さえて、1本ずつ弾いて確認します。
- 曲の中で続けて出てくる2つのコードを選び、切り替えを練習します。
- ゆっくりしたテンポで、1行ぶんだけ通して弾きます。
- 慣れてきたら、少しずつ行を増やして、テンポも上げていきます。
練習メニューの例(15分)
- 最初の3分:開放弦を弾いて、右手の感覚を確かめる。
- 次の5分:1つのコードを選び、押さえて、1本ずつ弾いて確認する。
- 次の5分:2つのコードを切り替える練習をする。
- 最後の2分:好きな曲の1フレーズを、ゆっくり弾いてみる。
毎日15分でも、続けることで、少しずつ指が覚えていきます。長い時間を一度にやるより、短くても毎日続けるほうが、定着しやすいといわれます。
1週間の練習メニュー(目安)
日数はあくまで目安です。自分のペースに合わせて、進み具合は変えて構いません。
- 1〜2日目:Emだけを押さえて、1本ずつ鳴らす。
- 3〜4日目:Amを加えて、EmとAmを切り替える。
- 5日目:Eを加えて、3つのコードを順番に押さえる。
- 6日目:CやDなど、気になるコードを1つ試す。
- 7日目:ここまでの復習をして、弾きたい曲のコードを確認する。
練習後のチェックリスト
- 押さえたすべての弦から、音が出ている。
- 指先が立っていて、隣の弦に触れていない。
- 手や肩に、余計な力が入っていない。
- 弾かない弦を、右手でさわっていない。
- コードの名前を、声に出して言える。
次のステップ
基本のコードをいくつか押さえられるようになったら、ストロークの練習を組み合わせてみましょう。右手のリズムが安定すると、コードを切り替えるときも、リズムを崩さずに弾けるようになります。その次は、弾きたい曲のコード譜を見ながら、実際に曲を通して弾いてみる段階です。うまく弾けない部分があっても、まずは曲の流れをつかむことを優先して、少しずつ形にしていきましょう。
手の大きさと指の力について
手が小さい、指が短いといった理由で、コードを押さえるのが難しいと感じる人もいます。ネックを持つ位置を変えたり、ギターの構え方を調整したりすると、指が届きやすくなる場合があります。また、ネックの細いモデルや、ボディの小さいモデルを選ぶという方法もあります。選び方は、アコースティックギターの選び方の記事で紹介しています。指の力は、練習を重ねるうちに、少しずつ慣れていくので、焦らずに続けましょう。
コードを覚えるための小さな工夫
- コードを押さえるたびに、名前を声に出して言う。
- 紙にコード名と押さえ方を書いて、手元に置く。
- 毎日の練習の最初に、覚えたコードを、順番に押さえて確認する。
- 覚えたコードを使った、簡単な進行を作って、繰り返し弾く。
よくある質問
最初に覚えるコードは、どれがよいですか。
EmやAmなど、押さえやすいコードから始める人が多いようです。弾きたい曲があれば、その曲で使うコードから覚えるのも、おすすめです。
コードを覚えるのに、どのくらいかかりますか。
個人差がありますが、毎日少しずつ練習を続けることで、数週間のうちに、いくつかのコードが押さえられるようになる人が多いようです。回数を増やすことより、1回ごとに音を確かめながら練習するほうが、結果的に近道になるといわれます。
指が痛くて続けられません。
指先の痛みは、慣れていく過程でよく見られます。短い時間で、こまめに練習し、無理をしないようにしてください。強い痛みが出たときや、痛みが長く続くときは、医師に相談しましょう。くわしくは、指先が痛いときの対処法の記事もご覧ください。
コードの音が汚いときは、どうすればよいですか。
1本ずつ弦を弾いて、鳴っていない弦を探します。指の角度や、押さえる位置を見直しましょう。それでも改善しないときは、チューニングが合っているかも確認してください。
Fコードが押さえられません。
Fは、人差し指で複数の弦をまとめて押さえる「セーハ」が必要で、多くの人がつまずきます。まずは基本の8コードに慣れてから挑戦しても、遅くありません。曲によっては、指の本数を減らした簡単な形で弾く方法もあります。
練習を続けるための工夫
- 練習する時間を決める。たとえば、食事のあとなど、毎日の流れに組み込みます。
- ギターをすぐに手に取れる場所に置く。
- 「今日はEmだけ」のように、小さな目標にする。
- 疲れたら、すぐに休む。短い時間で区切ると、続けやすくなります。
焦らずに続けるために
コードを覚える過程では、上達が止まったように感じる時期があるかもしれません。それでも、毎日少しでもギターに触れていれば、指は少しずつ慣れていきます。自分のペースを大切にして、楽しみながら続けてください。
